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17- D- 0230
201 7 年 6 月 2 6 日
総合商社の 17/ 3 期決算の
注目点
総合商社(三菱商事、住友商事、三井物産、丸紅、伊藤忠商事、双日の6 社)の 17/ 3 期決算および18/ 3 期業績予想を踏まえ、株式会社日本格付研究所(J C R)の現況に関する認識と格付上の注目点を整理した。
1. 業界動向
資源分野の価格が大幅に変動しており、業績への影響が生じている。15/ 3 期、16/ 3 期と主要品目の価格 が下落したが、17/ 3 期には石炭、鉄鉱石で価格が上昇した。石炭では、原料炭が 16/ 3 期のトン当り 90 ドル 台から 17/ 3 期には 165 ドル前後、一般炭が 50 ドル台から 70 ドル台、鉄鉱石がトン当り 50 ドル前後から 70 ドル弱へと上昇した。各社によってその影響額に差はあるが、三井物産では鉄鉱石の年間純利益への感応度 (1ドル/ トンの変動による影響額)は 25億円(当社 IR 資料より)であり、17/ 3期当社株主に帰属する当 期純利益(当期純利益)に対し鉄鉱石だけで 400 億円前後のプラス影響が生じたと J C R では推定している。 ただ足元では鉄鉱石や石炭がやや弱含むなど、価格は安定していない。資源価格は、グローバルな政治、経 済の変化によって影響を受けやすく、先行き不透明感のある現況では、今後の動向を注意深く見守っていく 必要がある。
近年、各社とも積極的な新規投資を続けており、新たな収益源の開拓を進めている。新規投資の6 社合計 額は、世界的な不況の影響を受けた 10/ 3 期に 1 兆 2, 000 億円程度まで減少したが、12/ 3 期から 16/ 3 期まで は 3 兆円前後と高水準で推移した。17/ 3 期は、15/ 3 期、16/ 3 期での資源分野を中心とした損失処理の影響 もあって、多くの会社で財務重視の姿勢を強めてはいるが、新規投資額は 2兆円程度と比較的高い水準が維 持されている。最近では1 件で 1, 000億円を超えるような大型案件も散見されており、投資案件の分散状況 にも注意が必要である。新規投資と並行して投資回収にも取り組んでおり、継続的に資産の入れ替えを行う ことが総合商社の大きな特徴と言えるだろう。丸紅では、17/ 3 期の新規投資が約1, 100 億円であったのに対 し、太陽光発電事業(日本)や貨車リース事業(北米)など投資回収は約 3, 000 億円となり、回収を積極的 に進めた。
2. 決算動向
資源分野の当期純利益は、価格回復に加え前期の損失処理の反動もあり、各社とも増益となった。特に資 源分野で強い事業基盤を有する三菱商事、三井物産では前期の赤字から 2, 000 億円前後の黒字を確保するま で改善した。住友商事、丸紅では改善はしたものの引き続き赤字となった。住友商事ではチリの銅・モリブ デン鉱山の減損、丸紅ではメキシコ湾の油ガス田権益の減損が影響した。非資源分野の当期純利益は、円高 や市況下落などの影響で減益となった会社もあるものの、全般的に堅調に推移しており、各社とも一定の利 益を確保した。これらの結果、連結の当期純利益は全社で増益となり、伊藤忠商事は 3, 522 億円と過去最高 益を更新し、三菱商事は 4, 403 億円と過去最高レベルの利益を確保した。
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社から発行額の50%を資本と見なすと判断されるケースが多いが、会計上は、発行条件によって全額負債に 計上される場合と全額資本に計上される場合がある。これらの場合、50%を資本、50%を負債と見なして財 務指標を算出すべきと J C R では考えている。
3. 決算に
お
け
る
格付上の
注目点
18/ 3 期は、資源価格の回復により資源分野で一定の利益確保が期待できるほか、非資源分野でも各事業 分野において全般的に底堅く推移すると見ている。その結果、6 社合計の当期純利益は前期比 10. 5%増の 1 兆 6, 200 億円が計画されている。なお、資源分野、非資源分野が利益に占める割合は、会社によって大きな 差がある。現状の資源価格を前提とすれば、資源分野の割合が高いのは三井物産、三菱商事、非資源分野の 割合が高いのは丸紅、伊藤忠商事となる。資源分野は価格変動の影響を受けやすく、収益は変化しやすい。 一方、非資源分野は一部に価格変動の影響を受ける事業もあるが、資源分野に比べれば収益は安定している。 多くの会社で非資源分野の収益強化を目指しており、その進捗状況に注目している。
財務面では、ネット DE R を 1 倍前後でコントロールしている会社が多い。キャッシュフローの黒字を確 保し、財務改善を優先する会社が多く、ネット DE R は改善傾向で推移すると見ている。
総合商社は事業分野が幅広く、毎期一定規模の損失発生は避けられない。特に新規投資は既存事業に比べ 外部環境の変化によって損失が発生しやすい。資源分野では、15/ 3 期、16/ 3 期に価格下落により多額の損 失が計上され、17/ 3 期も一部の会社で数百億円規模の損失が発生した。非資源分野でも想定通りに事業が進 捗せず、損失を計上する事例が散見されている。資産の見直しを継続的に行ってきたことで、当面の損失額 は各社の財務体力の範囲内に収まると見ているが、引き続きリスク管理は経営上の重要な課題である。
多様な事業を展開する総合商社にとっては想定外の損失に対するリスク管理も重要になる。多くの会社で はリスクアセット(一定条件のもとで想定される最大損失額)を算出し、リスクバッファとなる自己資本な どとのバランス(リスクアセット/ リスクバッファ)による管理が行われている。17/ 3 期はリスクアセット を開示している4 社のうち伊藤忠商事、丸紅、双日では基準となる1 倍に対して一定の余裕を維持したが、 住友商事は余裕が乏しい状況にあり、バランスの改善が必要である。
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(図表 1)連結業績推移 (単位:億円)
三菱商事
(8058)
住友商事
(8053)
三井物産
(8031)
16/ 3 期 17/ 3 期 18/ 3 期予想 16/ 3 期 17/ 3 期 18/ 3 期予想 16/ 3 期 17/ 3 期 18/ 3 期予想
収益 69, 256 64, 258 − 40, 108 39, 970 − 47, 597 43, 640 −
営業利益 829 3, 960 − 1, 313 1, 489 − 1, 606 1, 803 2, 000
親会社の所有者に 帰属する当期利益
- 1, 494 4, 403 4, 500 745 1, 709 2, 300 - 834 3, 061 3, 200
丸紅
(8002)
伊藤忠商事
(8001)
双日
(2768)
16/ 3 期 17/ 3 期 18/ 3 期予想 16/ 3 期 17/ 3 期 18/ 3 期予想 16/ 3 期 17/ 3 期 18/ 3 期予想
収益 73, 003 71, 288 − 50, 835 48, 385 58, 000 16, 581 15, 553 −
営業利益 1, 042 916 1, 150 2, 264 2, 884 3, 070 263 476 560
親会社の所有者に 帰属する当期利益
623 1, 554 1, 700 2, 404 3, 522 4, 000 365 408 500
6 社合計
16/ 3 期 17/ 3 期 18/ 3 期予想
収益 297, 380 283, 093 −
営業利益 7, 318 11, 529 −
親会社の所有者に 帰属する当期利益
1, 809 14, 656 16, 200
※ 営業利益=売上総利益−販管費
※ 18/ 3 期予想は各社が公表している数値
(出所)各社決算資料より J C R 作成
(図表 2)連結財務構成推移 (単位:億円、倍)
三菱商事 住友商事 三井物産
16/ 3 期 17/ 3 期 18/ 3 期予想 16/ 3 期 17/ 3 期 18/ 3 期予想 16/ 3 期 17/ 3 期 18/ 3 期予想
ネット有利子負債 43, 155 39, 915 − 27, 703 26, 279 27, 000 32, 150 32, 821 −
自己資本 45, 925 49, 172 − 22, 515 23, 665 25, 000 33, 797 37, 322 −
ネット DER 0. 9 0. 8 − 1. 2 1. 1 1. 1 1. 0 0. 9 −
丸紅 伊藤忠商事 双日
16/ 3 期 17/ 3 期 18/ 3 期予想 16/ 3 期 17/ 3 期 18/ 3 期予想 16/ 3 期 17/ 3 期 18/ 3 期予想
ネット有利子負債 27, 625 20, 999 − 25, 556 23, 307 23, 500 5, 716 6, 111 6, 500
自己資本 13, 171 16, 837 − 21, 937 24, 019 26, 500 5, 203 5, 505 5, 800
ネット DER 2. 1 1. 2 − 1. 2 1. 0 0. 9 1. 1 1. 1 1. 1
6 社合計
16/ 3 期 17/ 3 期 18/ 3 期予想
ネット有利子負債 161, 905 149, 432 −
自己資本 142, 548 156, 520 −
ネット DER 1. 1 1. 0 −
※ 自己資本=資本合計−非支配持分
※ ネット DE R=ネット有利子負債/ 自己資本
※ 1 8 / 3 期予想は各社が公表している数値
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http://www.jcr.co.jp/ 【参考】
発行体:伊藤忠商事株式会社
長期発行体格付:A A - 見通し:安定的
発行体:丸紅株式会社
長期発行体格付:A + 見通し:安定的
発行体:双日株式会社
長期発行体格付:BBB+ 見通し:安定的
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